映画「天気の子 Weathering With You」感想 こどもっぽさへの讃歌 今日、「MAZDA3」が納車になった。誕生日おめでとう!! 運転の練習を兼ねて、すぐ近くで見ることができるのにもかかわらず、1時間近くかけて遠くの映画館まで見に行ったよ。バックで駐車するとき、何回も切り返して駐車場に渋滞を生んでしまったのは秘密です。車でやらかしているときのあの独特なプレッシャー、こえーっすよね…… さて、新海誠の最新作「天気の子」、見てきましたよ。以下雑に感想、ネタバレあり。 雨が降り続く新宿、そんな形容では足りないくらいの雨は、そこに暮らす人々を確実に鬱々とさせていた。しかし、そんな中1人、東京へ向かうフェリーの上で雨に喜ぶ少年がいた。主人公の高校1年生・帆高。そしてかれは「100%の晴れ女」・陽菜と出会い、...2019.07.21 14:32アニメ映画青春
木下龍也・岡野大嗣『玄関の覗き穴から差してくる光のように生まれたはずだ』感想 特別な一週間(7/1~7/7)が終わり、二人の男子高校生はもういない。でも、えてして振り返って思い出すのは、特別な日が終わった後のことである。だから、7日の次の日の今日7/8に、歌集『玄関の覗き穴から差してくる光のように生まれたはずだ』の感想をまとめておきたい。木下龍也×岡野大嗣 最注目の新世代歌人、初の共著 男子高校生ふたりの七日間を ふたりの歌人が短歌で描く物語 217首のミステリー 木下と岡野は同じ時期に歌を詠み始め、山口と大阪という離れた場所にありながら当初から互いを意識し、影響を受け、高めあってきました。第1歌集が共に4刷をこえるなど、新世代最注目の若手歌人です。 本書では、そのふたりがそれぞれ男子高校生に...2018.07.08 05:31詩青春ミステリ読書
映画「ポッピンQ」感想 王道児童向けファンタジーとして見る/読む 見てきました、「ポッピンQ」。いやはや、公開されている映画館がとても昔ながらのところでしてね、ノスタルジーを感じながら(昔ながらの映画館は数えるほどしか行ってない)鑑賞してまいりました。何がびっくりってお客さん僕一人ね。僕一人。「ポッピンQ」って下に貼り付けた動画を見て頂ければわかるのですが、パッと見女児向けの映画なのですよ。そして、この感想も女児(というか児童)向けの映画です、と結論付ける予定なのですが、そんな映画にヲタクが一人。受付のお姉さんたちにさぞ笑い者にされていたことでしょう。2016.12.29 00:00アニメ映画青春
高山羽根子作『うどん キツネつきの』感想 藤子・F・不二雄さんの「SF」の定義、すなわち、「少し・不思議」の略だ、っていうのは、とても素敵な定義だと思う。普通の生活に潜む「少し不思議」、僕たちが見落としがちな、目を逸らしがちなその事象を、切り取ることができれば、全部「SF」だろう。そして、その「不思議」は得てして「少し」ではなく「すごく」「不思議」なことである。 そんな「SF(少し/すごく・不思議)」を切り取った作品が『うどん キツネつきの』である。以下、あらすじと冒頭引用になります。犬そっくりの生き物を育てる三人姉妹の人生をユーモラスに描き、第1回創元SF短編賞佳作となった表題作、郊外のぼろアパートで暮らす人々の可笑しな日常「シキ零レイ零 ミドリ荘」、15人姉妹の家が建...2016.11.27 08:49青春読書SF
朝井リョウ作『何者』感想 「何者」かになるための魔法の言葉もしくは呪文 僕は弱っちい人間なので、周りの同世代と比べればほとんど「就活」をしていないに等しい。今、なんとか「大人」として社会の荒波に揉まれることができているのはおそらく、ラッキーだ。 小さい頃の無邪気な僕は、なりたいものになれるものだとばかり思っていた。パイロットになりたい、本屋さんを開きたい、先生になりたい、編集者になりたい。しかし、思い通りに行くはずもなく。 今の僕は「何者」かになれたのか。 以下、あらすじと冒頭引用です。就職活動を目前に控えた拓人は、同居人・光太郎の引退ライブに足を運んだ。光太郎と別れた瑞月も来ると知っていたから――。瑞月の留学仲間・理香が拓人たちと同じアパートに住んでいるとわかり、理香と同棲中の隆良を交えた5人は就活...2016.10.18 17:17青春読書
映画「聲の形」感想 蓋した過去を、聞くということ 日本の映画が今年は豊作ですね。 あの、京都アニメーションが「聲の形」を映画化ってんで、ちょっと気乗りしないながら、僕はヲタクなので見てきました。 以下、劇場版PVになります。2016.09.27 05:41アニメ映画青春
最果タヒ作『少女ABCDEFGHIJKLMN』感想 詩人の最果タヒさんが書いた中短篇集。たくさんのこの本の感想や、金原瑞人さんの書評(『文藝』2016年秋号収録→こちらからも読めるゾ(web版))にもあるように、非常に詩的。小説なのに。あまりにも詩的。だから、分からない、という感想が多いっぽい。まあ、かくゆう僕も?ばかりだけど、それでも、惹きつけられる魅力がある。 以下、惹句と冒頭に収録されている「きみは透明性」の書き出し引用です。いま、最果タヒにより、文字が、言葉が、物語が躍り出す。 「好き、それだけがすべてです」——最果タヒがすべての少女に贈る、本当に本当の「生」の物語! 姉は、愛に満ちている。やわらかなまつ毛に包まれた頑なな瞳、太陽を頬張ったような頬ももう見えない...2016.08.31 13:37青春読書SF
映画「君の名は。 your name.」感想 入れ替わる場所/出会う場所 見てきた。土曜は出勤日なのだけど、午後からなので、午前中いけんじゃん!?!?!?とか調子乗って見た結果、映画の余韻で仕事に集中できず、しかし、残しておきたかったその余韻は仕事のトラブルに対応していたら胡散霧消していた。返してくれ。 仕事の前に映画見るの、辞めたいと思います。 以下、ネタバレが多分にあります。ご注意を。2016.08.28 16:36アニメ映画エンタメ青春
綿矢りさ作『蹴りたい背中』感想 なんか、教養として、現代文学の有名作品を読んでおかねば、という気持ちになった。というわけで第一弾、綿矢りさ『蹴りたい背中』です。最年少芥川賞受賞で、世間を賑わした本作品。天邪鬼の私は、世間で賑わってるものは読みたくない人だったので、読んでいませんでした。そのこと、非常に後悔しております。 以下、あらすじと冒頭引用。”この、もの哀しく丸まった、無防備な背中を蹴りたい”長谷川初実は、陸上部の高校1年生。ある日、オリチャンというモデルの熱狂的ファンであるにな川から、彼の部屋に招待されるが…クラスの余り者同士の奇妙な関係を描き、文学史上の事件となった127万部のベストセラー。史上最年少19歳での芥川賞受賞作。 さびしさは鳴る。耳が痛くなる...2016.08.28 06:56純文学青春読書
浅野いにお作『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』感想 「週刊朝日別冊 小説トリッパ― 二〇一六年夏季号」には佐々木敦と東浩紀が主宰する批評再生塾の第1期総代と次席の批評が掲載されている。 総代の吉田雅史は日本語ラップを用いて(「漏出するリアル」)、次席の川喜田陽は漫画を用いて(「擬日常論」)、昭和90年代と昭和の終わりを論じた。 「漏出するリアル」の方は、日本語ラップが自分にとって門外漢過ぎて「そ、そーなのかー」と読んだだけであったが、「擬日常論」の方はかなり面白く読めた。そこで取り上げられている漫画『花と奥たん』と『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』に興味が湧いたので、後者を買ってきました。 以下、あらすじです。大きなUFOが浮かぶ世界は今日も廻る。二人の少女のデスト...2016.07.19 05:39漫画青春読書SF
辻村深月作『島はぼくらと』感想 おかえりなさい、辻村深月。瀬戸内海に浮かぶ島、冴島。朱里、衣花。源樹、新の四人の島は島の唯一の同級生。フェリーで本土の高校に通う彼らは卒業と同時に島を出る。ある日、四人は冴島に「幻の脚本」を探しにきたという見知らぬ青年に声をかけられる。淡い恋と友情、大人たちの覚悟。旅立ちの日はもうすぐ。別れるときは笑顔でいよう。 本土のフェリー乗り場はいつも、目が痛いほどの銀色だ。 夏はなおさら。 午後四時になっても翳りを見せない太陽が、足下のコンクリートを灼き、その上に、無数の銀色の粒がきらきらと輝いて見える。海に向けて突き出した桟橋の脇にある短い庇の待合所も、下に影ができるのは四時半を過ぎてからだ。それまでは高すぎる日差しのせいで、屋根の影...2016.07.18 16:21青春読書