ボンヴォヤージ(短歌十首)「献杯!」と掲げたお猪口が音を立て羨む故人を偲ぶ「打ち上げ」ふんばれる魔法をかけてくれた場所ふんばってゆっくりゆっくり納棺バックミラー越しの涙がたまる「もうちょっとだけ早く、集まれればね」びっこひく坊主のカラダがひょこひょこと気になって気になって死にきれない背骨です、魔法をつかった代償の背骨を二人でつまんでいれて父のさかづきは震えて「カッコいい」震えるバイクにまたがっている祖父重箱にありがたそうに色づいて鰻が、鰻が、食べられなかった母としての母妹としての母姉として娘としての母聞こえないはずの祖父の声がふいに対談の口調でぼくを襲った語られた思い出たちがきらめいてはじけてどうか良い船旅を2023.01.22 12:27詩
木下龍也・岡野大嗣『玄関の覗き穴から差してくる光のように生まれたはずだ』感想 特別な一週間(7/1~7/7)が終わり、二人の男子高校生はもういない。でも、えてして振り返って思い出すのは、特別な日が終わった後のことである。だから、7日の次の日の今日7/8に、歌集『玄関の覗き穴から差してくる光のように生まれたはずだ』の感想をまとめておきたい。木下龍也×岡野大嗣 最注目の新世代歌人、初の共著 男子高校生ふたりの七日間を ふたりの歌人が短歌で描く物語 217首のミステリー 木下と岡野は同じ時期に歌を詠み始め、山口と大阪という離れた場所にありながら当初から互いを意識し、影響を受け、高めあってきました。第1歌集が共に4刷をこえるなど、新世代最注目の若手歌人です。 本書では、そのふたりがそれぞれ男子高校生に...2018.07.08 05:31詩青春ミステリ読書
ラビンドラナート・タゴール作「いまから百年のちに」(森本達雄編訳『原典でよむ タゴール』より)感想 この記事を読まれる皆様におかれましては、ラビンドラナート・タゴールという詩人をご存知であろうか。2017.02.13 12:24外国文学詩読書
文月悠光作『わたしたちの猫』感想 冬はあたたかい。。。 めりーくりすます!! 僕がサンタクロースなら、プレゼントに贈りたい本はこんな本。人の心には一匹の猫がいて、そのもらい手を絶えず探している。自分で自分を飼いならすのはひどく難しいから、だれもが尻尾を丸め、人のふりして暮らしている。 恋する私たちを描く、文月悠光の第3詩集。 今年の10月に発売された本作。しかし、この詩たちに触れるなら冬が一番だ。 詩人たちの季節感なるものがなんかわからないけれど、僕はどうしても目についてしまう。そうなるとどうしても自分の読み方はかなり恣意的になるのだけど(それを自覚しているけれど)、でもそれでよい気がする。 文月さんの描く「恋」は基本的に「うまくいかない」ものとして描かれているように思える。 そう、...2016.12.24 16:44詩読書
『ユリイカ 平成28年8月号「あたらしい短歌、ここにあります」』感想 「『ユリイカ』持ち歩いている人ってかっこよくね?」なんて会話をしたことがある。心の底からピュアな僕は「そうなんだ!!!」と思って、雑誌『ユリイカ』を一時期持ち歩いてました。はは。 『ユリイカ』は青土社から出ている芸術評論集。「詩と批評」っていう副題がついてます。なかなか取り扱う範囲が幅広く、面白い。近刊では新海誠も特集されます。ほかにも、不思議の国のアリスとか、森博嗣とか、西尾維新とか。そういったものからダダのシュルレアリスムまで。 そして今回は短歌です。あれです、「五七五七七」からなる31文字の小宇宙。 僕はそもそも「詩」というものが嫌いで、でもここ最近好きになった、なんてことはこちらに書いたけれども、その影響で「短歌」にいくの...2016.08.10 04:09詩読書
トークイベント 最果タヒ×福永信「言葉が分裂する」(@la kagu2F soko) 感想 やっと東京での遊び方を覚えられたような気がする。さすが文化の発信地・東京。略してさす東。東京だから作家に会えるし、新刊もすぐに手に入るし、サイン本も手に入れられるし、自分の名前まで入れてもらえたりする。来年からこの東京から離れなければならない。ので、今のうちに行っておくしかない!! ということで、最果タヒ×福永信「言葉が分裂する」、行ってきました。以下、公式サイトより詳細引用。史上初?! 〈不在〉のゲストと「LINE」で言葉を交換しながら、言葉の進化を(もしかしたら退化も)体感するトークイベントを開催します。リリカルなナイフで言葉の地平線を切り開く、気鋭の詩人・最果タヒさん。(中略)トークイベントと言っても、今回言葉のやりとりに使...2015.11.18 17:47雑感詩
最果タヒ作『空が分裂する』感想 詩がきらいになったのは、いつからだろう。詩に対して拒否反応を起こす理由もいまはもう闇の中だが、学校や、テレビで見かける詩の多くが説教くさいものばかりであったからのような気がする。道徳の時間とかね。全然関係ないけど、道徳の時間は嫌いだった。 そんな詩のイメージを変えてくれたのは、野村美月作「文学少女シリーズ」の外伝、『’’文学少女’’と恋する挿話集4』に取り上げられていた、タゴール作「百年後」という詩との出会いだった。その詩に触れた時、冗談無しに読んだままの情景が頭の中に広がり、延々と続く草原や、生き生きとした人物動物が頭の中を飛び出しまるで僕がその空間にいるかのように錯覚した。詩にはこんな力があるのかと、驚愕した覚えがある。その詩...2015.08.29 20:07詩読書