高山羽根子作『うどん キツネつきの』感想 藤子・F・不二雄さんの「SF」の定義、すなわち、「少し・不思議」の略だ、っていうのは、とても素敵な定義だと思う。普通の生活に潜む「少し不思議」、僕たちが見落としがちな、目を逸らしがちなその事象を、切り取ることができれば、全部「SF」だろう。そして、その「不思議」は得てして「少し」ではなく「すごく」「不思議」なことである。 そんな「SF(少し/すごく・不思議)」を切り取った作品が『うどん キツネつきの』である。以下、あらすじと冒頭引用になります。犬そっくりの生き物を育てる三人姉妹の人生をユーモラスに描き、第1回創元SF短編賞佳作となった表題作、郊外のぼろアパートで暮らす人々の可笑しな日常「シキ零レイ零 ミドリ荘」、15人姉妹の家が建...2016.11.27 08:49青春読書SF
アニメ「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ」第30話~第33話 感想 「オルフェン(Orphan)」とは、「孤児」を意味するらしい。「機動戦士ガンダム」のシリーズを名に冠するなら、「オルフェンズ」が主人公となるのは、現代と地続きの未来を舞台としたとき、当然の帰結だろう。 原点であるいわゆる「宇宙世紀(Universal Century:U.C.)」が舞台の「ガンダム」シリーズは、全て「大人に翻弄される子ども」の物語だ。ニュータイプとオールドタイプの対比然り。歴代の主人公たち(アムロ・レイ、カミーユ・ビダン、ジュドー・アーシタなど)然り。強化人間たち(ララァ・スン、フォウ・ムラサメ、エルピー・プルなど)然り。大人の都合で顎で使われる子どもたちが物語を駆動している。 そのように考えた時、そしてこの時代(...2016.11.21 09:02アニメ
松田青子作『スタッキング可能』感想 働き始めて早7カ月。もうそんな経ったの?という気持ちとまだそれしか経ってないの?という気持ちと。仕事って大変、と思うことのほとんどは人間関係だ。もちろん、業務自体を手を抜いているというわけではないけれど、仕事して疲れた~、酒のみてー、タバコ吸いて―、となるのは、主に職場の人間関係からくる気疲れだ。 そう、「仕事」にではなく、「人間」に疲れている。 その原因は「同調圧力」とか「空気を読む」とかなのかもしれない。 以下、『スタッキング可能』のあらすじと冒頭引用です。5階A田、6階B野、4階C川、7階D山、10階E木……似ているけれどどこか違う人々が各フロアで働いているオフィスビル――女とは、男とは、会社とは、家族とは……同調圧力に溢れ...2016.11.20 17:21純文学読書