空っぽの自分を埋めるために 今日も近所のつまらない大型書店を訪れた。その大型書店は(一顧客の言としてはクソ生意気だが)全く売る気が見られない。こんな売り方をしているようじゃアマゾンに潰される日も近いんじゃなかろうか、と思いながら(その書店では)鈍ったアンテナを張り、本を物色する。今日はなんのためにここに来たんだっけな、とか頭の片隅にちらつきながら一冊、二冊と持って歩く本が増え、あ、聲の形のBlu-rayを買いに来たんだった、と思い出したころには購入予定の本は四冊になっていた。今日の気分は頭を使いたい、だったらしい。『ウィトゲンシュタイン入門』『近代 未完のプロジェクト』『物語を生きる 今は昔、昔は今』『竹取物語』。思わずにやける。僕の暮らしている部屋に戻れば...2017.05.21 15:52雑感
宮内悠介作『ヨハネスブルグの天使たち』感想ヨハネスブルグに住む戦災孤児のスティーブとシェリルは、見捨てられた耐久試験場で何年も落下を続ける日本製のホビーロボット・DX9の一体を捕獲しようとするが――泥沼の内戦が続くアフリカの果てで、生き延びる道を模索する少年少女の行く末を描いた表題作、9・11テロの悪夢が甦る「ロワーサイドの幽霊たち」、アフガニスタンを放浪する日本人が”密室殺人”の謎を追う「ジャララバードの兵士たち」など、国境を超えて普及した日本製の玩具人形を媒介に人間の業と本質に迫り、国家・民族・宗教・戦争・言語の意味を問い直す連作5篇。才気煥発の新鋭作家による第2短篇集。 誠と璃乃と出会ったのは五歳のときだ。以来二人はいつでも一緒にいた。東京の北のさびれた団地に、学年あ...2017.05.15 02:53読書SF