岸本佐知子『死ぬまでに行きたい海』感想 東小金井 発展が目覚ましい。まあ、国分寺ほどではないけれど。中央線で都心へ一本だが、新宿まで30分ほどかかるというアクセスがいいだかわるいだかわからん中途半端な立地の東小金井は、その中途半端さゆえに都会でもなく田舎でもなく、いやむしろ都会でもあり田舎でもあった。そんな東小金井の中心地(東小金井駅)から武蔵小金井方面のはずれのほうへ15分ほど歩いた(遠い)ところにある/あったのが、ぼくが4年間も(!)生活した信濃寮である。 「信濃」の名の通り、長野県出身の上京をした人向けに東京での居住スペースの確保をその任務とする。なかにはなぜか新潟県の上越出身の上級生もいたような気がするが、まあ気のせいだろうと思う。真白い立方体の組み合わせでできたその建築...2021.01.26 15:45